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2023年 3月の研究論文・ハードウェア編

By Dr Chris Mansell, Senior Scientific Writer at Terra Quantum


ここ1か月で見た、量子コンピューティングと量子通信に関する興味深い研究論文の概要の紹介を以下に。



Hardware


Title: Quantum-classical processing and benchmarking at the pulse-level(パルスレベルでの量子・古典処理とベンチマーク)

Organization: Quantum Machines Inc.


量子誤り訂正から変分論理ゲートまで、今日最も研究されている量子コンピューティング技術の多くは、量子ビットに対して繊細なレベルの制御を必要としている。この制御はパルス信号により仲介され、多くの場合高速な古典計算と交互に行われる。技術発展のためには、ベンチマークテストが必要だ。本論文では、量子コンピュータの最下層であるパルスレベルでのベンチマークを提案する。これによる利点は、量子ビットの品質と制御操作の精度を別々に調査し最適化できることだ。この研究では、量子ユニバーサルアセンブリと呼ばれる包括的なパルスレベル言語を使用している。



Title: Quantum causality emerging in a delayed-choice quantum Cheshire Cat experiment with neutrons (中性子を用いた遅延選択量子チェシャ猫実験において現れる量子因果性)

Organizations: Atominstitut, TU Wien; Institut Laue Langevin; Hokkaido University


量子力学で最初に学ぶべきは、反直感的な「重ね合わせ」である。しかし、これはほんの入口。中性子を干渉計に通すことで、スピンなどの性質が1つの経路を、そして中性子自体は別の経路をたどることができる。また、粒子が装置に入り長時間が経過した後で、干渉計の最終的なビームスプリッターを挿入または取り外すことも可能だ。前者の場合、中性子は「不思議の国のアリス」の猫のように、消え去りながらその笑顔を残すことができることから、「量子チェシャ猫」と呼ばれている。後者における設定は遅延選択実験と呼ばれ、そのために粒子は行動が変化してから選択がなされるまで違うように振る舞うように見える。これもまた奇妙な現象である。新しい実験では、これら2つの奇妙な現象が、同時に起こる可能性があることが示された。



Title: Noisy intermediate-scale quantum computers(ノイズのある中規模(NISQ)量子コンピュータ)

Organizations: Southern University of Science and Technology; International Quantum Academy; University of Science and Technology of China; RIKEN; University of Michigan


「ノイズのある中規模量子コンピュータ」は紹介するまでもないだろう。しかしその研究はとても活発でありレビューが必要だ。多くの専門家によって執筆された 800以上の論文を参照して書かれたこの論文は、重要な節目やブレークスルー、さらには穏やかな進捗について包括的に議論している。量子アルゴリズムに続き、各主要なハードウェアプラットフォームを取り上げそれぞれの短所と長所を、そして最新の信頼性と量子ビット数を示している。このレビューはオープンアクセスであるため、量子技術コミュニティにとって特に価値的であろう。



Title: Experimental Activation of Strong Local Passive States with Quantum Information(量子情報による強い局所受動状態の実験的活性化)

Organizations: University of California, Berkeley; Miller Institute for Basic Research in Science; University of Waterloo; Perimeter Institute for Theoretical Physics


今から15年ほど前、堀田昌寛氏は量子力学的にエネルギーをテレポートする方式を考案した。この方式は、ある量子ビットの量子状態を別の量子ビットにテレポートする元の方式と同様に、局所演算と古典通信を必要としたものだ。本論文では、量子エネルギーテレポーテーション(QET)プロトコルを核磁気共鳴システムで初めて実験的に実証した(少し後の池田一毅氏によるプレプリントでは、IBMの超伝導量子コンピュータを使った同様のQET実験が紹介されている)。理論的な応用としては、ブラックホールの理解に役立つ可能性があり、実用的な観点からは、QETはアルゴリズムによって量子ビットを冷却する手順と併用できる可能性がある。



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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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