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Amazon Braketがパラメトリックコンパイルをサポート、Rigettiプロセッサでハイブリッドアプリケーションを高速化


古典と量子コンピュータの両方で計算を行うハイブリッドアルゴリズムは一般的なものだと言える。QAOA(Quantum Approximate Optimization Algorithm:量子近似最適化アルゴリズム)やVQE(Variational Quantum Eigensolver:変分量子固有値ソルバー)のようなアルゴリズムは、古典プロセッサと量子プロセッサの間でデータをやり取りすることで、何ラウンドも繰り返し計算を実行する。具体的には、古典プロセッサーはラウンドごとに1つ以上のパラメーターを提供し、量子プロセッサーは同じ回路を使ってそれを評価する。


当初量子プラットフォームは、このようなアルゴリズムを扱うにはとても非効率的な方法をとっていた。新しいパラメーターを使った計算を開始するたびに、量子プラットフォームは回路を再コンパイルする必要があり、そのタスクはいちいち量子プロセッサーのキューの後ろにロードされていたからだ。そのため、何百回、何千回という反復計算を必要とするジョブがあった場合、完了までにあまりに長い時間がかかることになる。


Rigettiは長い間この問題に取り組んでおり、2019年にパラメトリックコンパイルと呼ばれる機能を導入した。これにより、回路を一度コンパイルして結果をキャッシュに保存し、ランタイムシステムに新しいパラメータを渡すだけで、再コンパイルを必要とせずに回路のバリエーションを実行できるようになり、ハイブリッド変分アルゴリズムが大幅に高速化されることになった。


Amazon Web Servicesは、Amazon Braketを通じてRigettiプロセッサにアクセスしている顧客向けに、この機能をサポートすることを発表した。また、ジョブの実行時間最小化のため、アルゴリズムの反復時に量子プロセッサのキューの先頭に置かれるようにすること、転送遅延を減らすためにバークレーにあるRigettiマシンに物理的に近いサンフランシスコ湾岸地域にあるAWSデータセンターの1つを使用すること、システム全体のアーキテクチャに定期的なソフトウェアの最適化を実装することなどの技術実装も合わせて告げられいる。結果として、Rigettiマシンでこの機能を使用する特定の古典/量子ハイブリッド処理ジョブのパフォーマンスが10倍向上したことを報告した。


現時点では、Amazon Braketに接続されているRigettiのシステムだけがこの機能を持っている。しかし、将来的にはAWSがサポートしている他の多くのプロセッサーにも実装するよう期待したい。AWSはWebページで、この機能の使用例を掲載している。



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オリジナル記事:Quantum Computing Report

https://quantumcomputingreport.com/

翻訳:Hideki Hayashi

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