昨年の夏に Classiq社は、日本に販売拠点を展開するため記者向説明会を行い、当マガジンではその模様をお伝えしました。
さらに昨年10月にはロールスロイス社との提携のニュースが。
今回、量子アルゴリズムの学術的記述を形式的にシームレスにモデリング可能であることを示し、論文を公開しました。
図:Classiqの量子アルゴリズム設計プラットフォームの合成エンジンと、MicrosoftのAzure Quantum Resource Estimatorを用いて、学術論文の量子アルゴリズムを実装する量子回路の最適化
量子アルゴリズムは、過去30年間、主に学術的な取り組みとして扱われてきました。研究者は定義・証明されたアルゴリズムを発表し、科学的言語でそれらを記述してきました。しかし、残念ながらこのような記述は、学者間の相互理解に依存しており、形式的な科学言語に基づいています。このような言語では、コンパイラが量子コンピュータで実行可能な量子アルゴリズム記述を理解し、生成するには十分な形式ではありません。
Classiqは、過去数年間に発表された多くの量子アルゴリズムとその実装の徹底的な検証を行い、科学的に記されたアルゴリズムの構造や論理を維持したまま、量子アルゴリズムの学術的記述を形式的にシームレスにモデリングできることを示しました。今回新たに発表された論文では、MicrosoftのAzure Quantum Resource Estimatorを用いて、Shorのアルゴリズムを4つのモジュール加算で実行する場合は、354,562個の物理量子ビットが必要になることを示し、必要なゲート数を具体的に特定しています。
Classiqの量子アルゴリズム設計プラットフォーム上で、モデルを形式的に理解し、具体的で最適化された量子回路の実装を生成する合成エンジンに加えて、モデリング手法をすべて実装しており、理論から実行に至る複雑な量子アルゴリズムの作成を初めて実現したことになります。Shorのアルゴリズムの実装など、今回Classiqのプラットフォームで作成された複数の量子アルゴリズムは、これまで作成された量子アルゴリズムの中で最も複雑かつ大規模なものとなりました。
Classiqの共同創業者兼CEOであるNir Minerbiは次のように述べています。
「Azure Quantumを用いた今回のClassiq による取り組みは、ユニークで画期的であり、また象徴的なものとなりました。つまり、研究から生産へ、学術論文から実行可能なコードへ、そして現在から未来へのシフトを象徴しています。ClassiqのプラットフォームとAzure Quantumのリソース推定ツールとを組み合わせることで、スケーラブルな量子、即ち、規模に応じた量子の構築を可能にします」
詳細については、Classiqが2022年12月4日に発表したこちらの論文(英語) をご覧ください。
[ Quantum Business Magazine 編集部 ]
【プレスリリース】
量子コンピューティングソフトウェアのリーディングカンパニーであるClassiq Technologies(本社:イスラエル・テルアビブ、以下「Classiq」)は、同社の量子アルゴリズム設計プラットフォームと Microsoft の「Azure Quantum Resource Estimator」を用いて、学術的な量子アルゴリズムの自動実行を可能にしたことを発表しました。量子技術開発の中心的な役割を担ってきた学術的な量子アルゴリズムは、量子コンピュータで実行可能な記述をコンパイラが理解し、生成するための形式を欠いています。Classiqは、2つの最先端量子技術を組み合わせることで、理論から実行に至る複雑な量子アルゴリズムを作成する能力を初めて示しました。