[Left: Interior of Goldeneye experimental Superfridge. Right: Exterior of Goldeneye. Credit: IBM.]
2020年9月、IBMは将来の量子プロセッサーに使うかもしれない、コードネーム「Goldeneye」と呼ばれる大型の希釈冷凍機を開発していると発表した。およそ10フィート×6フィートの大きさで、1.7立方メートル(約60立方フィート)の冷却用実験容積を確保するように設計されたものだ。
これに対し、商用ベンダーから入手可能な現世代の希釈冷蔵庫は、デバイス用に約0.4~0.7立方メートル(約14~24立方フィート)の容積を備えている。IBMは、「Goldeneye」を作り、それを25ミリケルビンまで冷却し、その中に量子プロセッサーチップの1つを設置して動かすことに成功したと発表した。これは、世界中に存在する最大の希釈冷凍機である。
現時点でこのプロジェクトは、まだ基本的な技術開発の概念実証の段階にあり、IBMは近日中のどのプロセッサにもこれを使用する予定はないようだ。これらのプロセッサについてIBMは、2021年11月のIBM Quantum Summitで説明したIBM System Twoの設計の一部として、BlueForsと開発している希釈冷凍機を使用する予定だという。しかし、Goldeneyeのような研究プロジェクトからは大きな学びが得られる可能性があり、開発された技術の一部は、この10年の後半に登場するであろう新しい量子プロセッサーに使用できるIBM System Three設計など、将来の生産用希釈冷凍機の設計に役立つ可能性がある。
本開発の詳細は、IBM Researchのサイトにあるブログ記事 に詳しい。