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コラム:量子ソフトウェア業界、方向転換の兆し

ここ 1年を振り返ると、量子ソフトウェア業界には方向転換の兆しがあります。企業の多くは、 「純粋な」 量子ソフトウェア企業として設立されており、当時、古典ソリューションへの取り組みは、焦点をそらすことになると指摘してました。しかし現在では、多くの企業が古典ベースのソリューションを導入しており、製品ポートフォリオの一部として量子インスパイアード・ソリューションと呼ぶこともあります。


最近の例としては、QC Ware の Prometheum Quantum Chemistry アプリケーション、SandboxAQの GPU (Graphics Processing Unit) や TPU (Tensor Processing Unit) 上で動作する量子シミュレーションと最適化ソリューション、Zapata の ジェネレーティブAIの利用促進、Strangeworks は間もなく人工知能技術を活用する新しいツールを導入予定、、1Qbit が シミュレーテッドアニーリング (SA) への強化学習 「ブラックボックス」 を開発していることなどなど。明確にいうと、これらは古典/量子のハイブリッドアルゴリズムではなく、革新的ではあるにしても純粋に古典的な解法でなのです。


企業活動としては現実的な変化であり、理にかなっています。ユーザーは通常、問題が解決されている限り、その解決方法を気にしていません。古典ベースのソリューションが、先だって問題を解決できるのならそれで充分、というのは納得できる話です。ソフトウェア企業にとって、それは収益をより早くもたらし、投資家をより幸せにするでしょう。量子企業はその間に、エンドユーザーとの関係を確立し、解決しようとしている問題をよりよく理解できるようになります。多くの場合、これらの企業はテンソルネットワークのようなアルゴリズムに基づくソリューションに取り組んでおり、最初にGPUで実装し、今後、より強力なマシンが利用可能になれば、比較的簡単に真の量子コンピュータに移行することができるでしょう。


一つ指摘しておきたいのは、企業は今日、古典ベースのソリューションを多く使用していますが、その多くは何年も前に開発されたものであり、最も現代的で効率的なソリューションを使用してはいません。Excel の表計算ソフトを使って、様々な最適化問題を解決しようとしている組織はまだまだ多いでしょう。したがって、それらを最も優れた効率的な現代の古典的アルゴリズムを使用することは、まだまだ大きな価値を提供できるわけです。したがって、量子コンピューターが利用可能になり、純粋量子またはハイブリッド量子/古典ベースのソリューションが実現可能になるのを待つ間、これは優れたアプローチと言ってよいでしょう。



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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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