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2023年 2月の研究論文・ハードウェア編

By Dr Chris Mansell, Senior Scientific Writer at Terra Quantum


ここ1か月で見た、量子コンピューティングと量子通信に関する興味深い研究論文の概要の紹介を以下に。



[ Hardware ]



Title: A high-fidelity quantum matter-link between ion-trap microchip modules(イオントラップマイクロチップモジュール間の高忠実度量子物質リンク)

Organizations: University of Sussex; Universal Quantum Ltd; University College London; University of Bristol


イオントラップ量子コンピュータは、最近、フォールトトレラントな論理ゲート動作を実証し、研究者は、量子誤り訂正の反復サイクルへの組み込みを目指している。しかし、最も重要なアルゴリズムには多くの物理的量子ビットが必要であり、そのためには、あるチップのイオンを、隣接するチップのイオンと接続しなければならない。イオンは1つのチップ内でコヒーレントに移動できるが、この新しい論文では、電場を利用してチップ間を迅速かつ決定論的に移動できることを示した。1,500万回のシャトルで、イオンが失われることはなかった。この素晴らしい成果は、イオンの運動励起を最小化する技術を採用することで、さらに発展させることができるだろう。




Title: Long-Distance Transmon Coupler with cz-Gate Fidelity above 99.8%(CZゲートの忠実度が99.8%を超える長距離トランスモンカプラ)

Organizations: IQM Quantum Computers; Quantum Technology Finland Center of Excellence; Aalto University


本論文では、超伝導トランスモン量子ビットを結合させるために導波路を使用した。通常の直接容量結合に比べ、量子ビット間の不要なクロストークを低減し、4倍離れた場所に配置することが可能になる。これにより、各量子ビットに独自の部品セットを持たせて、高忠実度の読み出しを可能にするという利点がある。この長距離結合は、99.8%の忠実度と33ナノ秒の持続時間を持つ制御Zゲートの実証が示すように、依然としてその主要な役割を果たしている。




Title: Low-loss interconnects for modular superconducting quantum processors(モジュラー型超伝導量子プロセッサの低損失インターコネクト)

Organizations: Southern University of Science and Technology, Shenzhen; International Quantum Academy; Hefei National Laboratory; University of Chicago; Argonne National Laboratory


本論文では、アルミニウム同軸ケーブルとオンチップインピーダンス変換器を用いて、超伝導トランスモン量子ビット間の低損失相互接続の実現を報告している。それぞれ 4つの容量結合量子ビットを含む 5つの別々の量子モジュールを連結。実験者は、あるモジュール上の量子ビットと、隣接するモジュール上の量子ビットの間に、99%の忠実度でベル状態を作り出すことに成功した。さらに、相互接続の特性を調べたところ、直線損失率が 0.15デシベル/キロメートル(dB/km)であることが判明した。これは、通信用標準光ファイバーの 0.2dB/kmより優れている。




Title: Entanglement of Trapped-Ion Qubits Separated by 230 Meters(230メートル離れたトラップドイオン量子ビットのエンタングルメント)

Organizations: Österreichische Akademie der Wissenschaften; Universität Innsbruck; Georgetown University; University of Geneva; Université Paris-Saclay


トラップしたイオン量子ビットの電子状態を、光子の分極状態と絡め、その光子を別のイオンと絡めることは非常に難しい課題である。しかし、この論文では、光キャビティ、通信業界で使われている周波数の光子、230mの光ファイバーを用いて、別々の建物にある2つのイオンの間にベル状態を作り出すことに成功した。88%の忠実度を得たが、このプロセスは確率的で、100万回に40回しか成功せず、そのたびに2つの光子が偶然に検出されることで成功が確認された。




Title: Quantum Optimization with Arbitrary Connectivity Using Rydberg Atom Arrays(リュードベリ原子アレイを用いた任意の接続性による量子最適化)

Organizations: QuEra Computing Inc.; Harvard University; University of Innsbruck; Austrian Academy of Sciences


リュードベリ原子は、量子アルゴリズムのプラットフォームとして、ユニークな強みを持っている。特に、空間光変調器を用いて、異なる幾何学的パターンで、光双極子トラップ内に配置することができるのだ。そのため、原子はグラフ理論問題の頂点を表し、原子間の相互作用は辺に相当する。この論文では、さまざまな問題をリュードベリ原子の配置に効率的にマッピングするための、シンプルで統一された一般的なフレームワークを提供する。また、原子の 2次元配列による、2次制約なし 2値最適化問題を、正確に解くための結果を示した。今後は、近似解や高次の最適化問題、原子の3次元配置などを検討する予定だという。




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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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