[ 翻訳元投稿:2023/03/11 ]
技術コミュニティにサービスを提供する主要銀行、シリコンバレー銀行 (SVB) が破綻し、連邦預金保険公社 (FDIC) の管理下で1,750億ドルの顧客預金が失われた。顧客の最初の25万ドルの預金は FDICの保険でカバーされるが、それ以上の金額は払い戻されない可能性がある。シリコンバレー銀行は多くの資産を持っていたが、流動性がなくなっている。FDICはこれらの資産を売却し、保険対象外の金額であれば償還するが、それには時間がかかるかもしれない。そのため、一部のスタートアップでは、日々の業務に必要な現金を引き出すことができなくなる事態になりそうだ。
SVBの破綻が今週発表されたことを受け、Global Quantum Intelligence (GQI) は、量子コミュニティへの影響を評価するために、LinkedIn上で簡単な調査を行った。3月10日 (金曜日) に調査を開始し、3月11日 (土曜日) 夕方時点の中間結果を報告する。
この調査では、量子技術関連企業に、組織への影響を表す4つの選択肢から1つを選んでもらい、その状況を極秘として回答を得ている。
はい - 資本の大部分を占めている
はい - しかし、影響はわずか
はい - しかし、時間内に引き上げた
いいえ - 影響はない
この記事を書いている時点では58件の回答があったが、量子技術関連ではないとした数件は含まれていない。その結果は以下の通り。
量子技術系ハードウェア企業1社、小規模コンサルティング企業1社が、大きな影響を受けたと回答している
6社、いずれも規模の大きい量子技術系スタートアップが、少額で影響を受けたと回答している
45社が「いいえ、影響はない」と答えた。この中には、主要なベンダー、大規模なスタートアップ、20以上の有名なフリーランサー、サービスプロバイダー、コンサルタント、専門家が含まれていた
分野の主要20社のうち、合計10社が回答を提出し、そのうち3社が何らかの影響を受けたと回答。1社は、SVBに多額の資金を預けているが、顧客からの安定収益があるため、これで運営をカバーしながら通常通り営業できると回答した。
結果としては、直接的な影響という観点からは、今回の事態はほんの一握りの量子関連企業にとって試練となるかもしれないが、量子技術分野全体としては、最悪の事態を免れたようだ。
しかし、今回は調査していない近い将来のVCの資金調達にどのような影響を与えるかという点がある。多くのベンチャーファンドがSVBに資金を滞留させており、量子技術投資家からアンケートに回答があったのは1社だけだった。量子技術への投資を検討していたベンチャー企業がSVBに資金を預けていた場合、資金が確保できるまで懸案の案件を延期せざるを得ないかもしれない。また、経済全体の動向を見極めながら、一般的に慎重になるVCも出てくる可能性もあるだろう。
今後1週間ほどで、さらなる展開があることは間違いないだろう。もしかしたら、より大きな銀行や米国政府による支援で、SVBの資産や預金を買収したり保証したりする救世主が現れるかもしれない。しかし、全体として、世界の量子のエコシステムは非常に多様であり、SVBの破綻による業界全体への影響は最小限であると予想される。しかし、問題が広がり、破綻が連鎖するようなら、経済により一般的な問題が発生し、量子への影響も大きくなるかもしれない。
[ 翻訳元アップデート:2023/03/13 ]
米国財務省、連邦準備制度理事会、FDICは、シリコンバレー銀行の無保険預金者のための救済措置を発表。誰も損はしない。彼らの声明はここ で読むことができる。そしてシリコンバレー銀行の英国部門は、HSBCに1英ポンド (約160円) で買収される。詳細が掲載されたHSBCのニュースリリース はこちら。シリコンバレー銀行のカナダでの業務をどうするかについては、まだ疑問が残る。SVBの失敗による量子スタートアップ数社への影響についての当面の懸念は、少なくとも米国と英国の企業では解消された。
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原記事(Quantum Computing Report)
https://quantumcomputingreport.com/
翻訳:Hideki Hayashi