ここ1ヶ月の間に発表された4つの量子市場調査は、今後数年間における量子の成長を示す同様の内容となっています。
QED-C、Q2B、Q-STAR などがスポンサーとなっている Hyperion Research の調査
OpenOcean、IQM Quantum Computers、Lakestarによるもの
D-Waveが発表した調査
Classiqが発表した調査
調査対象者、質問内容、調査対象地域はそれぞれ異なりますが、結果は極めて一貫しており、2023年以降も量子技術産業の成長が続くという楽観的な見方が示されています。
Hyperion の調査は毎年行っているもので、今回は第3弾。同社はシリコンバレーで開催された Q2B Conference でその結果を発表しました。調査対象となったのは、18カ国 108社の量子コンピューティングサプライヤーで、回答者数は 145名。エンドユーザーへの調査は行っておらず、量子コンピューティングのみに焦点を当て、量子通信や量子センシングは含まれていません。調査では、量子コンピューティングの売上は 2022年に約 6億1,400万ドル、2025年には約 12億ドルに達し、25.3%の成長率で伸び続けると推定しています。2022年に 5,000万ドル以上の売上を達成した企業が 1社、2,500万ドルから 5,000万ドルの間に達成した企業が 1社、500万ドルから 2,500万ドルの間に達成した企業が 17社、100万ドルから 1,600万ドルの間に達成した企業が16社であることがわかりました。しかし、全体としては、81%の企業が50万ドル以下か、あるいは全く達成していません。2025年には、クラウドまたはハイブリッド(オンプレミス/クラウド)アクセスがハードウェアアクセスの 67%を占めると予測され、最も有望なエンドユーザーセグメントは、金融、量子テクノロジー研究開発、サイバーセキュリティの 3つであることがわかりました。本調査で得られたその他の重要な結論として、量子コンピューティングへの米国以外の国の参加が増加傾向にあり、業界が「量子の冬」を避けることができるという楽観的な見方が広がっていることが見て取れる点でしょう。その他の結果を示したプレゼンテーションの全文は、QED-C のウェブサイト からダウンロードできます。
OpenOcean / IQM / Lakestarの調査は、量子テクノロジーの潜在的なエンドユーザーである 174人のビジネスリーダーが対象となったものです。また、米国外にも重点を置いており、EMEAが44%、APACが16%、米国が38%、その他の地域が 2%。ビジネスリーダーの 91%は既に量子コンピューティングに投資しているか、投資する予定であり、61%は今後 3年間で 100万ドル以上の投資を計画しています。回答者の63%は、今後5年以内に量子的優位性を示すいくつかの応用があるだろうとし、その他の重要な結論としては、回答者の大多数が、必要なスキルを持つ人材の不足がイノベーションを減速させると感じていることと、量子コンピュータでプログラムを実行する現在のコストは持続可能ではなく、削減する必要があると感じていることでした。IQMによる結果の要約を示すプレスリリース 、彼らのWebページからは完全なレポート をダウンロードすることができます。
D-Waveはまた、すでにQCアプリケーションを開発しているか、何らかのエンドユースがすでに導入されている300人の米国および欧州のアーリーアダプターエンドユーザーからの回答を得た、Hyperionと実施した調査のレポートをリリースしました。これは、2021年に実施された調査の続きとも言えそうです。今回の調査では、回答者の80%が今後3年以内に量子コンピューティング活動の予算を増やし、33%以上が年間1,500万ドルを超える予算を見込んでいます。最も有望な3つのQCワークロードは、機械学習アプリケーション、金融指向の最適化、ロジスティクス/サプライチェーン管理。回答者はこれまでの進捗状況にかなり肯定的で、49%が活動は非常に成功していると答え、48%がやや成功していると評価した。導入の3つの大きなハードルは、量子を既存のITインフラストラクチャと統合する複雑さ、ROI を実証することへの懸念、QCベンダーの選択肢が限られていることです。この研究結果のいくつかをまとめた D-Wave のプレスリリースはここで入手可能であり、研究の全文は同社のWebページ からダウンロードできます。
Classiq はまた、2022年9月に Propeller Insights と行った調査の結果をプレスリリースしました。これもまた2021年の調査に続くものと思われます。今回の調査は、さまざまな業界分野の中・大規模企業 (従業員100人以上) の500人以上の潜在的なエンドユーザーを対象にオンラインで行われました。この調査では、回答者の83%がすでに量子研究に投資していることが示されました。量子技術の利用を評価する上位3分野は、金融、会計、医療技術。企業の72%は、今後5年以内に量子技術が日々の意思決定に関与するようになると考えており、86%は量子コンピューティングの人材を積極的に雇用していると回答しました。この調査のその他の結論は、回答者が量子コンピューティングは様々なSTEM (科学技術工学数学)カリキュラムに含まれるべきであり、量子知的財産ポートフォリオの構築が重要であると感じている、というものです。研究の全ての詳細を示す完全なレポートはまだ発表されていませんが、Classiq はここで主要な結果の要約を含むプレスリリース を発行しています。