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コラム:Google の量子誤り訂正に関する発表を受けて

今週初め、Google AI Quantum チームは、量子誤り訂正について進化を遂げ、その技術的詳細を Nature 誌に発表しました。簡単に説明すると、単一の量子物理量子ビットの、エラーレートが高い問題を解決したというもので、エンジニアはいくつかの物理量子ビットをまとめ、単一の論理量子ビットの作成を適切に行えば、エラーレートを減少させることができると示したのです。


Google が実証したのは、49個の物理量子ビットからなる論理量子ビット(符号距離5)の論理エラー率が、17個の物理量子ビットからなる論理量子ビット(符号距離3)のエラー率より低くくなるというものでした。物理的な量子ビットの数を増やせばエラー率は下がるだろうと思われますが、実際にはそう簡単ではありません。物理的な量子ビットを増やせば増やすほど、その量子ビットのいくつかがエラーを起こす確率が高くなり、コードが大きくなるとエラー率の改善はもはや見込めなくなるからです。


Google の AIチームが初めて実証したのは、注意深くエンジニアリングを行えば、誤り訂正符号の拡張が実際に可能であるということです。実験では、17 物理量子ビットの実装で 3.028%だった論理エラー率を、49 物理量子ビットの実装で 2.914%に低減させました。この改善はとても小さく、実用的な誤り訂正量子コンピュータの実現にはほど遠いものです。とは言え、少なくとも正しい方向に向かっています。


この論文は一般紙でも話題になりました。当マガジンでも 「2022年7月の研究論文」 において最初に報告しています。この研究がプレプリント論文として arXivに最初に投稿された時のものです。これはまだ印象的な成果と言える範囲かもしれません。しかし、フォールトトレラントな量子コンピュータを実現するために業界が達成しなければならない多くのマイルストーンの1つと考えるべきでしょう。この一つの成果が一夜にして業界を変えることはないし、最終ゴールにたどり着くにはまだ何年もが必要だとしても。


誤り訂正は、量子コンピューティングの中で最も活発な研究分野の1つであり、他のグループも重要な結果を出していることは忘れてはいけません。(しかし、他のグループは、Googleの PRチームほどに、成果を宣伝するためにお金をかけていないかもしれない!)


最近の注目論文としては、IonQ、メリーランド大学、デューク大学による 「Fault-Tolerant Operation of a Quantum Error-Correction Code」 という論文があり、13個の物理量子ビットから論理量子ビットを符号化して改善を示しています。もう一つの Quantinuum によるものは、「Implementing Fault-tolerant Entangling Gates on the Five-qubit Code and the Color Code」というタイトルで、リアルタイムの誤り訂正を使用して、完全にフォールトトレラントな方法で実行された2つの論理量子ビット間のエンタングルゲートを実証したもの。また、以前 Google が発表した 「Exponential suppression of bit or phase errors with cyclic error correction」 という論文では、ビット反転エラー、または位相反転エラーのどちらかを低減することで改善はできるが、両方を同時に低減することはできないことを実証しています。


今後数年間は、複数のグループから同様の論文が数多く発表され、それぞれがさらに一歩前進することが期待されます。問題の大きさを考えると、我々が常に話題にしている実用的な量子アプリケーションでは、数十万の論理ゲートを含むプログラムが必要で、各ゲートの論理量子ビット誤り率はおそらく 10^-15 (100万回に1度のエラー)程度になるでしょう。現在は、およそ 10^-3 (1,000回に1度のエラー)のレベルですから、まだ10桁以上の改善が必要です。そのため、アーキテクチャ、アルゴリズム、材料科学、製造、制御電子工学、力学、古典的なプロセッサとの統合など、システムのほぼすべての領域で多くの研究とハードワークが必要になるでしょう。



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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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