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IBM、2024年に欧州で量子データセンターを開設へ


[ Diagram of IBM’s Overall Quantum Data Center Architecture. Credit: IBM ]



クラウドコンピューティングへの流れが進む中、注目を集めている問題の1つにデータ主権の問題がある。データセキュリティとデータプライバシーに対する懸念が高まる中、国境を越えたデータの転送と保存の方法を規制するために、さまざまな政府によって多くの法律や規制が制定されている。これは特に欧州で顕著で、IBM の IBM Quantum Network には 60を超える欧州のクライアントがおり、彼らは現在、ニューヨーク州ポキプシーにある IBM量子データセンターで多くの仕事を行っている。


この問題を解決するため、さらには量子ジョブの処理能力拡大のために、IBM はドイツのエーニンゲンにある施設に 2番目の量子データセンターを設立すると発表した。このデータセンターは2024年の稼働を予定しており、IBMが 100量子ビット以上と定義する実用規模の量子プロセッサを搭載する予定だ。これにより、EU圏内のデータセンターでジョブを実行できるようになるため、データ主権問題を懸念する欧州の顧客を安心させることができるだろう。


ただし、新たなデータセンターを設置しても、米国を拠点とする顧客が欧州のデータセンターでジョブを実行したり、欧州の顧客が米国のデータセンターでジョブを実行することができなくなるわけではない。また、IBMは、顧客の制約に応じて最も適切な場所でジョブをスケジューリングするマルチチャネル・スケジューラーと呼ばれるインフラストラクチャー・コンポーネントを提供する予定という。使用が考えられる例は、IBMが最初に最先端システムをオンラインにしたときがある。例えば、IBMは最近、米国のデータセンターで 433量子ビットの Ospreyシステムを試験運用状態でオンライン化した。この最先端のシステムは、最初は米国のデータセンターで利用され、その後、プラットフォームのセキュリティが向上した時点で、そのコピーが欧州のデータセンターに導入される。また、どの場所でジョブが実行されるかを気にしない顧客にとっては、キューイング時間を短縮することにいくつかの利点があるだろう。タイムゾーンの違いにより、米国の顧客がジョブを送信して、顧客の需要が低くシステムの可用性が高いであろう欧州の夜間に実行することが可能になる。


IBMの欧州における量子データセンター設立計画の詳細については、同社のプレス発表 、そして背景を説明したブログ記事 を参照。



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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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