12億ドルの米国国家量子イニシアチブ (NQI) は、2023年9月30日年に終了する最初の五会計年度のみに指定された科学活動の予算承認を伴う10年間の期間について、2018年12月に制定された。最初の5年間の活動を見直し、次の5年間以降の進め方について提言活動を行っていく。そのため、米国の国家量子イニシアチブ諮問委員会 (NQIAC) は、その調査結果を含む報告書を発表したばかり。彼らは、米国が過去5年間で量子技術の開発能力を向上させてきたが、量子技術を活用するメリットを完全に実現するためには、まだ多くの科学的、工学的、システム統合的な課題を解決する必要があるとした。NQAIC は、改めて米国の経済と安全保障にとって極めて重要であると指摘している。
報告書の中で、NQIACは今後5年間およびそれ以降のNQIの範囲を再承認し拡大するよう勧告している。報告書で彼らが行った9つの主要な推奨事項のいくつかを以下に要約する。
米国は、国の量子情報科学、技術、エンジニアリングを支援し、NQIを更新し、NQIを当初の10年の認可を越えて延長する意向を表明すべきである。
米国は、量子情報科学・工学の基礎研究への支援を強化するために NQI を拡充すべきである。
連邦政府の新しいプログラムは、ミッションおよび商業グレードの技術のためのスケールアップした統合量子システムを開発・推進するための産業界主導のパートナーシップを支援すべきであり、そのようなプログラムのための新しいメカニズムを定義し、必要に応じて認可されるべきである。
各機関は、QIST プロジェクトのニーズを満たすための施設確保のため、スタッフ、設備、メンテナンス、運営費の支援を含む、連邦政府出資の研究を支援するための小規模・中規模インフラへの投資を拡充すべきである。
米国政府は、国際協力声明が参加国間の生産的な共同活動をもたらすように、新たな専用資金を提供すべきである。
QISTの進展を加速させると同時に、量子技術を悪意ある者から保護する必要がある。
米国政府は、国内およびパートナー国との協力により、QISTのサプライチェーンを強化、多様化、安全化する取り組みを促進する必要がある。QISTの進展に伴い、国際的なサプライチェーンのリスク回避と安全確保のための施策は、継続的に更新されるべきである。
QISTにおける国内の人材は、あらゆるレベルの教育・訓練プログラムを通じて拡充されるべきである。
米国の QIST の労働力における外国人人材の雇用は、移民政策とプロセスの見直しにより促進・迅速化されるべきであり、それにより、米国の経済競争力と国家安全保障を強化する。
=============================
原記事(Quantum Computing Report)
https://quantumcomputingreport.com/
翻訳:Hideki Hayashi