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PASQALが1億ユーロ(1億800万米ドル)のシリーズB資金調達ラウンドを獲得

フランスを拠点とし、中性原子技術に基づく量子プロセッサを開発しているハードウェアプロバイダ大手の PASQAL は、シリーズ B 資金調達で 1億ユーロ(140億円)を調達し、これまでの調達総額は約 1億2,500万ユーロとなった。このラウンドをリードしたのは新たな投資家のTemasek。シンガポールに本社を置く世界的な投資会社で、European Innovation Council (EIC) Fund、Wa'ed Ventures、Bpifrance も同社の Large Venture Fund を通じて参加し、継続的な投資家である Quantonation、Defense Innovation Fund、Daphni、Eni Next も参加した。この投資は、ヨーロッパでこれまでに行われた最大の民間量子ファンドの調達である。


調達した資金は、研究開発の加速と量子システムの増産に充てられる。彼らは短期的に 1,000 量子ビットのプロセッサを生産する予定であり、HPCセンターにシステムを提供して、オンプレミスインストールを行う予定だ。また、この資金を活用して、中東やアジアに拠点を開設するなど、営業・支援活動を拡大していく。昨年、彼らはカナダとアメリカの両方にオフィスを開き、プロセッサの新しいアプリケーションの宣伝と開発を支援した。全体として、現在100人の従業員を年内に約200人に拡大する予定である。


同社の量子技術は、一般的なゲート型のデジタルモードではなく、アナログモードと呼ばれるモードでシステムを利用することに特化しているため、他の多くの量子ハードウェア企業とは少し異なっている。このモードにより、ユーザーはチップ上の原子を柔軟に調整して、解決すべき特定の問題をより適切に表すことができる。例えば、ユーザーがグラフ構造の問題をシミュレートしている場合、構造自体を模倣するようにチップ上に原子を配置することができる。計算化学の問題でも同様で、分子内の原子の結合を模倣するように原子を配置することができる。


このアプローチでは、すべての潜在的な量子問題を全て解決することはできないかもしれないが、PASQALは、このアプローチにより、ゲート型のデジタルマシンで達成するだとうと多くの人が考えているよりも早く、2024年には商用量子アドバンテージをユーザーが達成できると考えている。PASQALは、ユーザーのプログラミング環境として、 Pulserと Pulser Studioと呼ばれる独自のソフトウェアを提供しており、他にも QuEra や Silicon Quantum Computing などがアナログモードに取り組んでいる。PASQAL 中性原子プロセッサは、ある時点でゲートベースのプログラムを実行することもできるようになるだろうが、今のところそれは彼らの焦点ではない。


同社は既に、CréditAgricole CIB、BASF、BMW、シーメンス、エアバス、LGエレクトロニクス、ジョンソン&ジョンソン、タレス、シカゴ大学、CINECAなどと多数の顧客およびパートナーとのコラボレーションを行っている。また、欧州ハイパフォーマンスコンピューティング共同事業のコンソーシアムである HPCQS に2つの量子プロセッサを提供することにも合意している。同社のプロセッサへのアクセスは現在、欧州の大手クラウドプロバイダー OVHCloud を通じて提供されており、今年後半には Microsoft Azure やその他のクラウドシステムで利用できるようになるとの発表が予定されている。


今回の投資に関する詳細は、PASQALのWebサイトに掲載されているプレスリリース を参照。



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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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