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Q-CTRLと Oxford Quantum Circuits が提携、複雑なアルゴリズムで性能向上を示す

量子産業全体として、協力関係の連携があきらかに広まっている。これは、今日の量子コンピューターにおける「摩擦のない」パフォーマンスを達成するための世界的な取り組み言える。アルゴリズムのパフォーマンス向上を目指して、Q-CTRLとOxford Quantum Circuits(OQC)が提携した。その目標は、今だ達成できていない複雑な問題を解決すること。主には、干渉によって起こるエラーによって、アルゴリズムの失敗を回避すること。すでに、彼らの協力による初期の結果は、ハードウェアの大幅なパフォーマンス向上を示している。


Q-CTRL の CEO Michael Biercuk氏は、量子ハードウェアを量子コンピューティングのアキレス腱と呼ぶ。もちろん、ハードウェアはエラーに対して影響を受けやすいからだ。エラー抑制は、値や量子ビット位相の変更、およびハードウェアに最も近いレベルでのエラー処理をおこなう。Q-CTRLは、提携において、ハードウェアのエラーと不安定性を削減するために設計されたエラー抑制の Fire Opal ソフトウェアを提供する。


一方で、OQC のスケーラブルなハードウェアとその Coaxmon 技術により、アルゴリズムのパフォーマンスを向上させることで、より複雑なアルゴリズムを実行できる。OQC の Coaxmonは、3次元アーキテクチャを特徴とし、主要なコンポーネントをオフチップに配置することで、シンプルさ、柔軟性、エンジニアビリティ、スケーラビリティを向上させる。OQCの 8量子ビットマシン、コードネーム 「Lucy」 は安定しており、Q-CTRLのソフトウェアによるキャリブレーションが行われると、再キャリブレーションが必要になるまで長期間にわたりドリフトが軽減される。


現状、Q-CTRLのエラー抑制のサンプル・サブセットが、OQCのハードウェアで使用された初期のベンチマーク結果では、精度と達成可能な回路の深さに大きく改善が見られている。性能は量子ビット数とともに向上。量子フーリエ変換(QFT)などのゲート数が多いく複雑なアルゴリズムでも、性能は向上した。


例えば、初期の Q-CTRLのベンチマーク結果。Bernstein-Vazirani アルゴリズムを使用した8量子ビットの量子コンピューターでは成功率がほぼゼロであるのに対し、その率は 140倍以上向上したことを示した。


パートナーはこう述べている。「OQC の独自に革新的かつスケーラブルなハードウェアと Q-CTRLの業界をリードするパフォーマンス管理ソリューションは、新しい簡素化されたワークフローや高影響のアルゴリズムを提供するだろう。未来のパートナーに貢献するための基盤を形成している」と。この提携は、業界内の協力の成果を表している。


両社は、既存のデバイスで解決可能なアルゴリズムの種類における制約を破ることを目指している。現在は初期段階であり、統合技術のパフォーマンスのベンチマークは引き続き進められていく。顧客は AmazonのBraket Pulse を介して OQCの Lucyシステムを使用することができ、パルス(QPUの量子ビットを制御するアナログ命令)を使用して量子アプリケーション開発を行うことができる。これにより、QPUの量子ビットを制御するアナログ指示で、より深いレベルの制御を実現する。


「当社の提携は、Classiq、OQC、NVIDIA、および Q-CTRLの協力関係の一部です」

と Fire Opal の製品マネージャー Rowen Wu氏は述べている。

「これらの企業は共同で、ユーザーがシングルペインの画面内で最高のソフトウェアとハードウェアツールを利用できるようにする摩擦のないツールチェーンを開発しているのです」と続けた。


対象となる業界は、化学、金融、製造業など。

「ユーザーは、金融ポートフォリオの最適化や工業用ジョブのスケジューリングなど、価値ある問題に対するソリューションを開発することができるようになり、デバイスの品質が向上し、達成できる範囲が広がるでしょう」とWu氏は付け加えた。


顧客は今年後半、Amazonの Braket Pulseを通じて、OQC の Lucyシステムと統合された Q-CTRLソフトウェアにアクセスできるようになる。Braket Pulse は、QPU の量子ビットを制御するアナログ命令であるパルスを使用して、より深いレベルの制御を実現する量子アプリケーションの開発を可能にする。


プレスリリース全文はQ-CTRL Webサイト を参照。



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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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