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ハーバード大学と共同研究者QuEra、MIT、NIST/UMDが率いるチーム、48個の論理量子ビットを持つ誤り訂正量子コンピュータを実証

研究チームは、48個の論理量子ビットを利用して、誤り訂正量子コンピューター上で大規模アルゴリズムの実行に成功した。1つか2つの論理量子ビットに制限されていたこれまでの実証実験に比べ、大きな進歩となった。物理量子ビットの時代から論理的で誤り訂正された量子ビットの時代への移行を意味するブレークスルーと言える。スケーラブルなフォールトトレラント量子コンピューティングの新時代を告げるものだ。


この研究により、量子エラー訂正によって計算の安定性と信頼性が向上し、物理量子ビットを構成する要素よりも優れた忠実度で論理量子ビットを動作させることが実証されたのだ。コードの距離が増加するにつれて忠実度が向上し、より多くのエラー訂正が可能になる。今回の成功の要因には、数百の物理量子ビット (この実験では280) の制御、量子状態を失わずに量子ビットをシャトル移動させる機能、忠実度99.5%の高忠実度2量子ビットゲート、論理演算の実行における複雑さを軽減するハードウェア効率の高い制御などがある。


ゾーン化されたアーキテクチャの導入により、ストレージ、エンタングル、読み出しゾーンが分離され、高忠実度のミッドサーキット測定とフィードフォワード演算が可能になる。これは量子計算における効果的なエラー訂正に不可欠なものだ。このアプローチは、スケーラビリティと効率の点で、超伝導量子ビットなど他の方式に比べて大きな利点をもたらす。制御信号の増加に比例することなく量子ビットを増やすことができ、量子コンピュータのスケーラビリティにおける大きな課題に対処することができる。



これらの成果は、量子コンピューティングの分野で、特にエラー訂正とスケーラビリティの課題への取り組みが大きく前進したことを示している。このマシンでは、古典的なリソースよりも確実に量子スピードアップを実現する実世界のアプリケーションにはまだ手が届かない。しかしながら、新たなユースケースやブレークスルーの可能性への扉を開くものである。



データベース検索のためのGroverのアルゴリズム:

- 説明 Groverのアルゴリズムは非構造化データベースの検索に用いられ、古典的アルゴリズムに比べて2次関数的な高速化を実現する。48量子ビットの量子コンピュータ上で、データベースの検索を約√Nステップ(Nはデータベースのサイズ)で実行できる。

- 指標とベンチマーク 古典的なアプローチではO(N)の時間が必要であるのに対し、GroverのアルゴリズムはO(√N)の時間で動作する。このため、Nが大きくなると著しく高速になるが、Nが小さくなるにつれて利点は減少する。

- 参考文献 L.K. Groverの原著論文 "A fast quantum mechanical algorithm for database search" (Proceedings, 28th Annual ACM Symposium on the Theory of Computing, 1996)に詳細な説明がある。



量子シミュレーションアルゴリズム

- 説明 量子コンピュータは、古典コンピュータでは困難な量子系を自然にシミュレートすることができる。48量子ビットのシステムであれば、分子構造や量子物質の特性をシミュレートすることも可能。

- 指標とベンチマーク 量子系の古典的シミュレーションに必要なFLOPS(1秒あたりの浮動小数点演算数)は、システムサイズが大きくなるにつれて指数関数的に増加するが、量子コンピュータはこれらのタスクを本質的に実行する。

- 参考文献 リチャード・ファインマンの代表的論文 "Simulating Physics with Computers" (International Journal of Theoretical Physics, 1982)は、その基礎となる概念を示している。



量子フーリエ変換(QFT):

- 説明 量子フーリエ変換は、Shorのアルゴリズムを含む多くの量子アルゴリズムに不可欠。古典的な高速フーリエ変換(FFT)よりも指数関数的に高速である。

- 指標とベンチマーク 古典的なFFTがO(N log N)時間であるのに対し、量子コンピュータ上のQFTはO((log N)^2)時間である。

- 参考文献 量子アルゴリズムにおけるQFTの役割については、NielsenとChuangの "Quantum Computation and Quantum Information "に詳しい。



量子機械学習アルゴリズム

- 説明 量子サポートベクターマシンや量子ニューラルネットワークのような機械学習のための量子アルゴリズムは、大規模データセットの処理を高速化できるかもしれない。

- 指標とベンチマーク 具体的なベンチマークを定義するのは難しいが、理論モデルではデータ処理と学習時間が多項式から指数関数的に高速化することが示唆されている。

- 参考文献 Peter Wittek著 "Quantum Machine Learning "がこの分野の概要を示している。



最適化のための変分量子固有値解法(VQE)

- 説明 VQEは化学において重要な課題である分子の基底状態エネルギーを求めるために使用される。特に48量子ビットシステムのようなNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)コンピュータに適している。

- 指標とベンチマーク 密度汎関数理論(DFT)のような古典的手法は、VQEに比べ、特定の分子に対して遅く、精度が劣る可能性。

- 参考文献 McCleanらによる "Variational quantum algorithms" (Nature Communications, 2016)は、アルゴリズムとその応用について述べている。



結論として、48論理量子ビットの量子コンピューターはこれらのアルゴリズムを活用して、古典的なコンピューターでは困難なタスクを実行でき、量子コンピューティングの変革の可能性を強調している。それでもなお、これらの利点を実現するには、量子ビットの忠実度、エラー率、システム アーキテクチャなど、量子ビット数だけではない要素にも依存することに注意しなければならない。


この実証実験に関する追加情報は、QuEraが発表したプレスリリース、QuEraのWebサイト上のFAQページ、Nature誌のWebサイトに掲載された論文を参照。



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オリジナル記事:Quantum Computing Report (by GQI)

翻訳:Hideki Hayashi






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