複数の資産を扱い、自動的にキャンセルされる特徴を持つ「エキゾチック」オプションの価格設定は、とても複雑なものだ。ほとんどの金融会社が現在行っている手法は、計算集約的なモンテカルロシミュレーションである。
Terra Quantumは、Cirdan Capitalと協力して、テンソルネットワークに基づく改善されたオプション価格アルゴリズムを考案している。テンソルネットワークアルゴリズムの良い点は、GPUを含む古典的なコンピューティングハードウェアで最初に実装できることであり、一部の人はこれを量子インスパイアードと呼んでいる。
同社は、このプロジェクトでの彼らの経験が、同じ古典的なハードウェアを使用しながら、より伝統的な方法と比較して、すでに75%高速化していることを示している。
しかし、より強力な量子コンピューターが利用できるようになれば、アルゴリズムを実際の量子コンピューターに移行して、さらなる高速化を図ることができるだろう。推定では、エキゾチックオプションの残高は約 1兆ドル存在しているため、価格設定のアルゴリズム的な改善は、金融企業にとって非常に価値があると考えられている。
金融業界は、量子コンピューティングが商業的な利益に活用される可能性のある最初の分野の一つである。なぜなら、日々行われる金融取引の数量の大きさによって、わずかな改善でも大きな利益につながるからだ。
Terra Quantumは、このプロジェクトに関する追加情報を含むニュースリリースを、こちらのWebサイト に掲載している。
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原記事(Quantum Computing Report)
https://quantumcomputingreport.com/
翻訳:Hideki Hayashi
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