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コラム:凍傷を負った量子。Rigetti のレイオフ、 D-Wave のキャッシュクランチ報道、他社の人員凍結

長い間、わたしたちは量子に冬はないと思っていると言ってきました。しかし2023年、量子は凍傷を負う企業もありムラのあるマーケットになりそうです。ここ数年、投資家は量子への期待が大きかっただけに神経質になり、投資には慎重になっているようです。さらには、ハイテク業界は全般的に不景気で、その技術環境は決してよくありません。


しかし、どの企業にとっても悲観的なニュースばかりではありません。今年はこれまで、11件のベンチャーキャピタルの投資について報告しました。ただし内訳は、中国、日本、オーストラリア、カナダに各1件、ヨーロッパに7件と、すべて米国外の企業でした。また、一部の企業では、顧客との重要なパートナーシップや、政府からの助成金に関する発表が続いています。


現在、困難に直面している企業が表面化してきました。過去2年間に SPACルートで上場した 4社のうち、現在の株価は、52週の高値の数分の一に過ぎません。株価が 1ドルを下回ると、各社は証券取引所での上場廃止や、与信枠の制限を受ける可能性があるでしょう。特に、顧客収入を拾っていない企業や、期待される技術的なマイルストーンが達成できていない企業にとっては、厳しい状況になることが予想されます。


先日、トロントのグローブ・アンド・メール紙には、D-Waveが資金難に直面しているという報道がありました。また、Rigettiは技術的なロードマップの変更と新しいCTOとCFOの任命に伴い、従業員の28%のレイオフを発表しています。


あまり公にされていない情報ですが、多くの企業が人員を凍結しており、静かにレイオフを実施しているかもしれません。QCR(Quantum Computing Report)には、量子産業で求人が募集されていることを示す求人掲示板があります。2023年2月11日現在、世界中の営利企業で合計349のポジションを載せています。前年の2022年2月12日には801人でした。


これまでも書いてきたように、量子はマラソンであって短距離走ではありません。長期的に見れば、量子には大きな可能性があります。しかし市場にたいして期待を管理する必要があるでしょう。企業はロードマップをタイムリーに実行することに集中し、投資家にサインアップしてもらうために過剰な約束をしてはいけません。多種多様に競争があり、企業は独自に提供する価値について、慎重かつ現実的に考える必要があります。量子市場は、過去数年間に見られた20-30%の割合で増加し続けるでしょう。しかし、それらの収益増加が、均等に分配されることはないのです。あるものが、他よりも多く勝ち取ることになるでしょう。



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原記事(Quantum Computing Report)

https://quantumcomputingreport.com/


翻訳:Hideki Hayashi

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